閑散期は、宿が一歩前に進むチャンス。旅館・ホテルが落ち着いた時期に進めておきたい、見直しと集客のこと
Web集客担当の梅原です。
「閑散期のうちに、やれることは全部やっておきたいんです」
この時期になると、宿の方からこんな前向きなお話を伺うことが増えます。
繁忙期は、目の前のお客様をお迎えすることに全力を注ぐ時期。
だからこそ、少し落ち着く閑散期は、次の一年に向けて宿を磨き直せる、貴重な時間なんですよね。
腰を据えて考えられる。スタッフ同士で話し合える。新しいことを試せる。
閑散期は、宿が一歩前に進むためのチャンスの時期だと、私は思っています。
そのチャンスを生かす使い方を、私は大きく2つに分けて考えています。
ひとつは、集客全体を見直すこと。
もうひとつは、閑散期そのものの集客を動かすこと。
今日は、この2つを順番に書いてみます。
その前に。閑散期の集客は、始めるタイミングが大事です
最初に、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。
遠方から来るお客様や、初めて泊まるお客様は、旅行の計画をかなり前から立てます。
そうしたお客様に届けたいなら、閑散期に入る少し前から準備を始めておくと、ぐっと結果につながりやすくなります。
一方で、直前でも動いてくれるお客様もいます。
以前泊まってくださった方や、車ですぐ来られる近くの方です。
| 動き出しが早い | 直前でも動ける | |
|---|---|---|
| 主なお客様 | 遠方の方、初めての方 | リピーターの方、近隣の方 |
| 届けるタイミング | 閑散期の2〜3か月前から | 閑散期に入ってからでも間に合う |
| この時期にやること | 次の閑散期に向けた仕込み | 今の閑散期の空室を埋める |
今の閑散期にできる集客は、主にリピーターと近隣の方に向けたもの。
そして、遠方や新規のお客様に向けた集客は、来年の閑散期のために「今」仕込むもの。
この時間差を頭に入れておくだけで、閑散期の動き方がずいぶん整理されると思います。
その1 閑散期に、集客全体を見直す
まずは、見直しの話です。
繁忙期のあいだは、毎日の予約を受けるのに手いっぱいで、全体を眺める余裕はなかなかありません。
ここで一度立ち止まって、去年一年を振り返ってみる。それが、来年の集客のいちばんの材料になります。
去年一年の「予約カレンダー」をつくる
予約システムや管理システムから、去年一年分の予約データを書き出して、月と曜日で並べてみてください。
難しく考えず、カレンダーに「埋まった日」と「空いた日」を色分けするくらいで十分です。
並べてみると、「まだ伸ばせる日」が、具体的に見えてきます。
- 連休明けの平日に、毎年まだ余裕がある
- 日曜の夜だけ、どの月も埋まりにくい
- 紅葉のピークの前後1週間は、もう少し伸ばせそう
「閑散期をなんとかしたい」だと、何から手をつければいいか分かりません。
でも、「毎年、連休明けの平日が空く」と分かれば、そこに向けて何をするかを考えられます。
埋めたい日が具体的になると、打つ手も具体的になるんですよね。
予約が「どこから」「いつ」入ったかを見る
同じデータで、もう2つ見ておきたいことがあります。
- 予約の経路:公式サイトから入った予約と、OTAから入った予約の割合
- 予約のタイミング:宿泊日の何日前に予約が入ることが多いか
経路を見ると、公式サイトからの予約を増やす余地がどのくらいあるかが分かります。
タイミングを見ると、特集ページや告知を、いつまでに出せばいいかが分かります。
たとえば「この時期は、平均して1か月半前に予約が入っている」と分かれば、その時期の特集ページは、少なくともその前には公開しておきたい、ということになります。
直予約の割合をどう考えるかは、直予約が増えない理由の記事で書きました。
口コミを読み返して、「選ばれている理由」を言葉にする
次におすすめしたいのが、去年いただいた口コミを、まとめて読み返すことです。
OTAの口コミ、Googleマップの口コミ、アンケート。
読みながら、繰り返し出てくる言葉に印をつけていきます。
「スタッフの方の距離感がちょうどよかった」
「朝ごはんが、思っていたよりずっとおいしかった」
「部屋から見える景色が、写真よりよかった」
こうした言葉は、宿が自分たちで思っている強みと、少しずれていることがよくあります。
そして、お客様の言葉で書かれた強みのほうが、次のお客様にはずっと伝わります。
読み返したら、ホームページやプランの説明に、その言葉がちゃんと入っているかを見比べてみてください。
「写真より景色がよかった」と書かれているなら、写真のほうを撮り直したほうがいいのかもしれません。
お客様と同じ道をたどって、予約してみる
最後に、スマートフォンで、自分の宿を予約してみてください。
検索して、ホームページを開いて、プランを選んで、予約の最後の画面の手前まで。
実際にやってみると、
- 予約ボタンが、思ったより見つけにくい
- プランが多すぎて、どれを選べばいいか迷う
- OTAのほうが安く見えてしまう
といったことに、意外と気づきます。
毎日見ているホームページでも、お客様と同じ順番でたどると、見え方がまったく違うんですよね。
スタッフの方にも一度やってもらうと、もっといろいろな気づきが集まります。
その2 閑散期の集客を、動かす
見直しができたら、次は実際に動かしていきます。
季節のページや広告の使い方は、閑散期の集客の記事で詳しく書いたので、ここでは、その前に考えておきたいことを中心に書きます。
「誰に来てほしいか」から考える
閑散期の平日に動けるお客様は、繁忙期とは少し顔ぶれが違います。
| 閑散期に動きやすいお客様 | その方にとっての「来る理由」 |
|---|---|
| 以前泊まってくださった方 | また行きたいと思っていた。きっかけがあれば動ける |
| 近くに住んでいる方 | 思い立ったら行ける。記念日や、ちょっとしたご褒美に |
| 平日にお休みのある方 | 混んでいない時期に、ゆっくり過ごしたい |
| ご夫婦やおひとりの方 | 人の少ない静かな宿で、のんびりしたい |
| 仕事を持ち込んで泊まりたい方 | 静かな環境で、数日まとめて過ごしたい |
全員に向けて同じことを伝えようとすると、誰にも響きません。
去年の予約カレンダーで見つけた「埋めたい日」に、どの方に来てほしいかを、ひとつ決めてみてください。
値段を下げる前に、「この時期だから」を用意する
予約を伸ばしたい日があると、まず料金を下げることを考えがちです。
でも、値段だけで選んでくださったお客様は、次も値段で宿を選びます。
それよりも、「この時期に来たからこそ」と思ってもらえるものを用意したいところです。
- 平日だけ、客室をひとつ上のお部屋にご案内する
- 連泊していただいた方に、2泊目の夕食を少し特別にする
- 人の少ない時期だからこそできる、館内の案内や体験を用意する
- この時期にしか出せない、旬の食材を前に出す
静かな時期を「空いている時期」ではなく、「ゆったり過ごせる時期」として見せる。
同じ空室でも、伝え方ひとつで、選ばれる理由に変わります。
まずは、以前泊まってくださった方に届ける
今の閑散期にいちばん効きやすいのは、やはりリピーターの方です。
宿のことを知っていて、また行きたいと思ってくれている方なので、直前のお知らせでも動いてくれることがあります。
メールやLINE、年賀状やDMなど、これまでのお客様に連絡できる手段があるなら、閑散期の平日に向けたご案内を送ってみてください。
「またお会いできたらうれしいです」という一言と、この時期ならではのプランをひとつ。
大げさなキャンペーンでなくても、それで十分届くことが多いです。
まだ連絡手段がないなら、閑散期は、その仕組みをつくる時期でもあります。
チェックアウトのときにLINEの登録をお願いする、メールでのお知らせを受け取るかを伺う。
今年つくった仕組みが、来年の閑散期を助けてくれます。
小さく試して、結果を書き残す
閑散期の集客は、一度で正解が見つかるものではありません。
だからこそ、プランをひとつ、届ける相手をひとつに絞って試して、結果を書き残しておくことが大事だと思っています。
- どの日に、どのプランを、誰に向けて出したか
- 何件の予約につながったか
- お客様から、どんな反応があったか
このメモが、来年の閑散期に見直すときの、いちばんの材料になります。
その1の「見直し」と、その2の「動かす」が、毎年つながっていくイメージです。
最後に
閑散期は、一年でいちばん、宿のことを落ち着いて考え、新しいことを試せる時期です。
ここでの一歩が、次の繁忙期にも、その次の閑散期にも、きちんと返ってきます。
去年を見直して、今年を動かして、来年の仕込みをする。
予約カレンダーをつくってみる。口コミを読み返してみる。リピーターの方に案内を送ってみる。
どれも、この時期だからこそ、じっくり取り組めることです。
今年の閑散期が、宿にとって実りある時間になればうれしいです。
長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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