直予約が増えれば、それがいちばんいい。分かっているのに、増えない理由

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Web集客担当 兼 代表の梅原です。

宿泊施設のオーナーさんとお話ししていると、ほぼ必ずこの話になります。
「自社サイトからの直接予約が増えれば、それがいちばんいいんだよね」。
分かりきっているんです、みなさん。
分かりきっているのに、なかなか増えない。そこを何とかできないものかと、ずっと頭を抱えている経営者の方は本当に多いと思います。

今日はその「何とかしたい」について、リセラが現場で見てきたことを書いてみます。
手数料の実際の数字から始めて、なぜ増えないのかという構造の話、そして最後に打ち手を並べます。

基本手数料と、実際に出ていくお金が別物問題

まず数字の確認です。公表されている情報を集めてみました。

国内の主要OTAの基本手数料は、おおむね8〜10%前後。楽天トラベルの場合は利用人数によって変わり、1名利用で7.0%、2名以上で8.25%、そこに楽天ポイントの負担が1%加わる、と公式に書いてありました。
オーナーさんに手数料を伺うと「8%くらいかな」という答えが返ってくることが多いのですが、まさにその認識とぴったり同じ数値でした。さすが、日々向き合っておられるだけあります。

問題は、宿から出ていくお金が、これだけでは終わらないことでした。

  • ポイントの負担分
  • クーポンの手数料
  • 販促プログラムや特集企画への参加費
  • カード決済の手数料

これらを足していくと、実質の総手数料率は15〜20%になるケースが大半、と言われています。
観光経済新聞の「第20回オンライントラベル予約実態調査」(2026年1月)でも、基本手数料10%の施設で、カード決済手数料2〜3%とクーポン・企画参加3〜5%が加わり、総手数料率が15〜18%に上ることが報告されています。

8%だと思っていた数字も、実際には倍近くになってしまうのですね。

1泊6万円の予約から、いくら消えているか

率のままだと実感がわきにくいので、2名さまで一泊6万円の予約で考えてみます。旅館やホテルなら、二食付きでこのくらいの金額になることは珍しくないと思います。

基本手数料8%だけなら、出ていくのは4,800円。ところが実質15%だと9,000円、18%なら10,800円。同じ一泊で、6,000円前後の差が出ます。

これが年間で何百件、何千件と積み上がると、金額はもう「経費のひとつ」では済まない規模になります。
そして、その数字を見て「この数字、本当に何とかならないものか......」と頭を抱えているオーナーさんは、きっと少なくないはずです。

日本旅館協会の調査では、国内OTA経由の宿泊者比率は約44.9%とされています。
宿泊者のほぼ半分がOTA経由で予約をしているわけで、集客の柱であることは間違いありません。
手数料は、その集客力に対する対価でもあります。

そのうえで、自社サイトからの直接予約が増えれば、その手数料がまるごと利益として手元に残りますし、お客様との関係も自分たちで築けます。
もちろん、100%を自社予約に置き換えることは、ほぼ不可能です。
そこは現実として押さえたうえで、では何%なら動かせるのか。この記事で考えたいのは、そこです。

OTAによって「自社予約への移りやすさ」が違います

さて、ここからが、たぶんこの記事でいちばん実務に効く話です。

自社予約を増やそうとするとき、多くの宿は「全部のお客様に、次は公式サイトから予約してもらおう」と考えます。
当然の発想ですよね。私もそうしたいです。でも現場でいろいろな宿を見ていると、そう単純ではないことが分かってきます。

どのOTAから来たお客様かによって、自社予約に移ってもらえる難易度が、最初からまったく違うんです。

いくつかの宿のオーナーさんが、それぞれ別の場所で、ほとんど同じことをおっしゃっていました。
楽天やじゃらんから来たお客様は、なかなか自社予約に持ってこられない。
でも一休から来たお客様は、リピートのときに公式サイトから予約してくださることが多い、と。

複数の宿で同じ話が出るということは、偶然ではなく、何かしらの構造があるはずです。

効いているのは「自分が貯めているポイント」です

なぜそうなるのか。リセラは、お客様が何を基準に予約先を決めているかの違いだと考えています。

ここで大事なのは、単に「ポイントが貯まるから」ではないという点です。
効いているのは、そのお客様が自分で貯めているポイントが貯まるかどうかなんですよね。

楽天ポイントを貯めている方は、じゃらんでも一休でも予約しません。旅行に行くなら、ポイントが貯まって使えるから楽天トラベル。
その発想しかない、という状態です。
じゃらんでリクルートのポイントを貯めている方も同じで、選択肢に他が入ってきません。
予約する場所(OTA)が最初から決まっているのですね。

そして、公式サイトで予約する理由がない。
ここに、もうひとつダイレクトな要因があります。
公式予約の特典が、貯めているポイントの魅力になかなか勝てないんです。
「公式限定でドリンク一杯」と「貯めているポイントが貯まる」を並べたとき、後者に軍配が上がってしまう。
この構造がある以上、声のかけ方だけでは動きません。

一方で一休は、宿そのものを指名して選ぶ方が多い媒体です。
ポイントが決め手ではないので、次にどこで予約するかは自由。
「あの宿にまた行きたい」と思ったとき、公式サイトを見に来てくださる余地があります。

ちなみに、ポイントをまったく貯めない方と、熱心に貯める方がいるという話でもありません。
ほとんどポイントは貯めないのに、ある一つだけは貯めている、という方が実はけっこういます。

旅行が好きだからAMEXのポイントだけは貯めている。
ディズニーランドが好きだから、JCBのポイント目当てで日常の支払いをカードにしている。
docomoのポイントだけは取りこぼさないようにしている。

こういう方は、その一点だけは譲れないのです。

つまり、ポイントで動く方と、そうでない方がいるというより、人によって譲れない一点が違うということです。
その一点が自分の宿の予約経路と重なっているかどうかで、自社予約に移せる難易度が変わってきます。

予約経路は違いますが、どちらも大事なお客様です。
ポイントを賢く使う方は、ポイントで安くできるから旅行に行こう、と行動に移してくださる良い面もありますし、浮いたポイントの分でいいお部屋やいいプランを選んでくださることも多いです。

ヒントは、コストコにあるかもしれません

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では、譲れないポイントがある方には、もう手が出せないのか。ここでふと思い出したのが、コストコです。

コストコでクレジットカード決済をするとき、使えるのはマスターカードだけなんですよね。
VisaもJCBもアメックスも使えません。
ということは、アメックスやJCBのポイントを貯めている譲れない派の方も、コストコではマスターカードか現金で支払うことになります。

それを知っていて、それでもコストコに行く。
欲しいものがあるからというのもありますが、やっぱりあの買い物そのものが体験だからですよね。
アメックスが使えないならもう行かない、とはならない方が大多数だと思います。

宿も、たぶん同じです。譲れないポイントよりも「ここでしか得られない体験」のほうが上に来たとき、予約経路は動きます。
値引きやポイントの土俵で並ぶのではなく、体験で選んでもらう。ここが自社予約のいちばんの勝負どころだと思っています。

では、楽天・じゃらん中心の宿はどうすればいいのか

ここで、「うちは一休の比率が低いから、無理じゃないか」と思われた方もいるかもしれません。そんなことはないので、ここを丁寧に紐解きます。

大事なのは、移りにくいお客様を無理に剥がしにいかないことです。

貯めているポイントが譲れない方に、「次は公式サイトからどうぞ」と言っても、なかなか響きません。
そこに時間とコストをかけるより、現実的な打ち手が2つあります。

ひとつは、その媒体の中でリピートしてもらうこと
お気に入り登録をしてもらう、媒体内のクーポンやセールに合わせて動く。
手数料はかかりますが、他の宿に流れるよりずっといい。ここは割り切りです。
そしてゆくゆくは、自社予約をしてくれるお客様に変わっていただくために、仕掛を長期間かけて熟成させます。

もうひとつは、公式サイトの役割を「予約する場所」から「宿を深く知る場所」に変えておくこと
予約はOTAでもいいので、公式サイトで宿の世界観や料理へのこだわり、季節ごとの魅力をしっかり伝えておく。
人は宿を知れば知るほど、「あの宿がいい」と指名するようになります。
指名する側に移った瞬間から、そのお客様は自社予約の候補になります。

すぐに数字が動く方法ではありません。でも、ポイントで選んでいた方が、宿の名前で選ぶ方に育っていく。
この変化が起きたとき、はじめて自社予約が増え始めます。
宿のホームページに何を載せるかという話は、旅館・ホテルのホームページ制作の記事にも書いているので、あわせて読んでいただけたらうれしいです。

自社予約を増やすための、具体的な打ち手

考え方の話が続いたので、実際にリセラが宿泊施設のお手伝いで取り入れている打ち手を並べます。
どれも単体で劇的に効くものではありませんが、積み上がると比率が動いていきます。

指名検索への広告

「◯◯旅館」と宿の名前で検索した方に、公式サイトを一番上に出しておく。実はこれ、OTAへの流出を防ぐ効果があります。
宿名で検索したのに、上に出てきたOTAから予約されてしまう、という取りこぼしは意外と大きいんです。

季節LP・特集LPを用意する

トップページで全部を見せるより、その時期の一点に絞ったページのほうが伝わります。
自社予約限定の魅力も、専用ページのほうがずっと伝えやすくなります。詳しくは閑散期集客の記事に書きました。

DM(ハガキ)を送る

今の時代もDMは強いです。LINEやメールも良いのですが、ハガキが届くというのは、リピーター獲得にやっぱり効果的です。
手元に残りますし、家族の目にも触れます。

公式限定の特典を、値引き以外で作る

ポイントと値引きで勝負すると勝てないので、お部屋のグレードアップ、チェックアウト時間の延長、駐車場、記念日の一品など、体験の格で差をつける。
ここは宿にしかできない領域です。

「公式がいちばんお得」を、はっきり書く

実は公式が一番条件が良いのに、それがどこにも書かれていない宿は少なくありません。
または、書かれているけれど、わかりにくい。見られにくいということ。
伝わっていない情報は、存在していないのと同じです。

スマホの予約導線から、無駄を削る

予約ボタンが常に指の届く位置にあるか、予約完了まで何タップか、入力項目が多すぎないか。
一度ご自分のスマホで、お客様のつもりで予約直前まで進んでみてください。

Googleビジネスプロフィールの予約リンクを公式サイトに向ける

地図から予約に進む方は確実にいます。
ここがOTAを向いたままになっている宿は、けっこうあります。

一度サイトを見た方に、もう一度広告を届ける

検討中に離れてしまった方へ、季節のプランを届け直す。
新規を集めるより、すでにホームページに訪れている検討層なので、ずっと効率がいい打ち手です。

このあたり、「うちは何ができていて、何ができていないのか」を並べてみると、手をつける順番が見えてきます。

自社予約の比率は、宿によってまるで違います

最後に、目標の置き方の話を。

リセラがお手伝いしている宿泊施設さんでも、自社予約の比率は本当にバラバラです。
2割ほどの施設もあれば、6割を超えている施設もあります。同じ宿泊業で、同じようにOTAを使っていて、ここまで差がつく。

この差は、宿の魅力の差ではありません。
仕組みを作ってきたかどうかの差です。

一気に、劇的に自社予約の比率を高めることはできません。それはリセラも正直に申し上げます。
でも、ひとつひとつの施策の積み重ねが、トータルで自社予約を増やしてくれる。
そして、何もしなければ何も変わらないのも、また事実です。少しずつの取り組みを続けることが、数年後の比率を変えてくれるかもしれません。

なので、目標は「まず今より5%上げる」くらいから始めるのがいいと思っています。
いきなり6割を目指すと、たいてい続きません。5%でも、年間の手数料に直せば相当な金額になります。

リセラは、作って納品して終わりではなく、公開後の運用まで一緒に伴走することを大切にしています。
「うちの自社予約比率、どのくらいなんだろう」「どこから手をつければいいのか分からない」。
そんなざっくりした状態でまったく問題ありません。むしろ、そこから一緒に整理するのが得意です。
実際にどんなお手伝いをしているかは、お問い合わせいただければ具体的にご紹介します。

長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

※本記事の手数料率は、公開時点で公表されている一般的な情報にもとづく目安です。実際の料率は契約内容やプラン、参加している販促プログラムによって変わります。