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「写真と全然違った」と言われないために。旅館・ホテルの写真は、写真ごとに「作り込み度」を決める

こんにちは。Web集客担当の梅原です。

以前、文章の検索語についての記事で、「写真と実際の部屋が違っていた点を何とかしたい」という検索語を紹介しました。

そのときに、「写真と実際の部屋が違う」と言われないための記事も書いてみたい、とお伝えしていました。

旅館やホテルの写真は、きれいであるほど予約につながります。

でも、宿の撮影や運用をお手伝いしてきて感じているのは、写真の役割は「予約してもらうこと」だけではない、ということです。

今回は、写真と実際の「ずれ」について、撮る側と、泊まる側の両方の目線から、ブログ記事にしてみました。

写真は、作り込もうと思えば、いくらでも作り込める

まず、少しだけ撮る側の話をさせてください。

ベテランのカメラマンであれば、色温度のコントロールはお手のものです。

ライティング、ホワイトバランス(色温度)、明るさ、彩度やコントラスト、レンズの選び方、構図とアングル。

ここまでをとことん作り込み、そのうえで補正をすれば、実際とはまったく別物の写真に仕上げることも、技術的には可能です。

同じ客室でも、色温度や彩度で印象が大きく変わる4枚の写真(AIで作成したイメージ)

人物の写真と同じですね。肌のトーンを整える、輪郭をすっきり見せる、背景に写り込んだ人を消す。いまはどれもお手のものです。

広角のレンズで、部屋を実際より広く見せる。

曇りの日の景色を、晴れた日のように仕上げる。

料理の色を、実物よりも鮮やかにする。

写り込んでしまう電柱や電線など、景観の邪魔になるものを、合成で消す。

特に最後の電柱や電線は、つい消してしまいがちなところです。

やろうと思えば、どれもできてしまいます。

だからこそ、撮る前に「どこまで作り込むか」を決めておくことが、とても大事になります。

写真の本当の役割は、「期待」をつくること

私自身、がっかりしたことがあります。

以前、あるビジネスホテルを予約したときのことです。

写真では、ふつうの広さの部屋に見えたんです。でも、実際に入ってみると、すっごく狭かった。

正直、残念な気持ちになりました。それからは、予約する前に部屋の㎡数をしっかり確認するようになりました(笑)

このとき感じたのは、部屋そのものが悪かったというより、写真を見てふくらんだ期待と、実際との差が、がっかりに変わったということです。

マーケティングの世界では、お客様の満足は「期待」と「実際」の差で決まる、という考え方がよく知られています。「期待不一致理論」と呼ばれるものです。

実際が期待を上回れば満足に、下回れば不満になる。

つまり、写真で期待を上げすぎると、同じ部屋でも、がっかりにつながりやすくなるんです。

もちろん、満足は部屋だけで決まるものではありません。

滞在の心地よさ、料理のおいしさ、おもてなしへの感動。

こうしたものが期待を大きく上回れば、部屋のがっかりは薄れて、全体としては満足してもらえることも多いと思います。

ただ、そういうときの口コミには、「料理もおもてなしも最高でした。ただ、部屋は写真と少し違いました」と、ひとこと残ることがあります。

せっかくの良い口コミに、小さなひっかかりが残ってしまう。

それが、もったいないところなんですよね。

写真の役割は、予約してもらうことだけではありません。

泊まる前のお客様の頭の中に、「期待」をつくること。

そう考えると、写真をどこまで作り込むかは、見た目だけの話ではなく、泊まったあとの満足にもつながっているのだと思います。

口コミに書かれる「写真と違った」は、期待とのずれ

宿の運用をお手伝いする中で、ほかの宿や、同じエリアの宿の口コミを調べることがあります。

そのときに、たまに見かけるのが、こんな口コミです。

  • 写真と全然違った
  • 部屋が写真よりずっと狭かった、古かった
  • 料理も写真と違った

良く見せたほうが、はじめてのお客様からの予約は増えるでしょう。

でも、がっかりさせてしまうと、リピーターにはなってもらえません。

そして、こうした口コミは、次に予約を考えている方の目にも、しっかり入ります。

反対に、口コミでいちばん強いのは「写真より良かった」という一言です。

期待をほんの少し上回る。

そこを狙えるのは、写真で期待をコントロールできる、宿の側なんですよね。

口コミへの向き合い方は、口コミの返信の記事にも書いています。

写真ごとに、「作り込み度」を決める

では、写真は作り込まないほうがいいのかというと、そうではありません。

大事なのは、写真ごとに、どこまで作り込むかを決めることだと思っています。

私が撮影の打ち合わせで、よくお伝えしている考え方がこちらです。

写真役割作り込み度
トップページのメインビジュアル宿の世界観、ブランドを伝えるしっかり作り込んでいい
客室予約する部屋を選んでもらう実際に近く。部屋タイプごとに
眺め窓から何が見えるかを伝える実際に近く。見える範囲を正直に
料理楽しみにしてもらう実際の盛り付けで。「一例です」を添えて
館内・設備過ごし方を想像してもらうありのままに近く
Instagram・日々のお知らせ宿の今の空気を伝えるありのままで

ポイントは、予約の判断に直接かかわる写真ほど、実際に近づけることです。

客室、眺め、料理は、泊まったときに「答え合わせ」をされる写真です。

一方で、メインビジュアルのように、宿の世界観を伝える写真は、しっかり作り込んでいい。

全部を同じ作り込み度で撮ろうとするから、どこかで無理が生まれるのだと思います。

作り込まなくても、期待は上げられる

もうひとつ、構図とアングルの力も知っておいてほしいところです。

海に面した露天風呂やプールの写真で、お湯や水面が、そのまま海と水平線につながっているように見えるものがあります。

Instagramのリールなどでも、本当に海とつながっているように見える写真をよく見かけますよね。

お湯が海と水平線につながって見える、海辺の露天風呂(AIで作成したイメージ)

実際には、お風呂と海がつながっているわけではありません。

これは、カメラの高さと角度を合わせて、そう見える位置から撮っているんです。

同じ露天風呂を、湯面すれすれの低い位置と、横の高い位置から撮り比べた2枚(AIで作成したイメージ)

映える力はすごく、「行ってみたい」という期待を、ぐっと上げてくれます。

でも、これは作り込んでいるわけでも、嘘をついているわけでもありません。

その場所に立てば、実際にそう見える。正直な写真です。

こういう写真は、期待を上げても、泊まったときにがっかりさせることがありません。

それどころか、お客様が同じ場所から同じ写真を撮って、SNSに投稿してくださることもあります。

合成や補正で期待を上げるのではなく、見せ方で期待を上げる。

宿の写真で、いちばん目指したいのは、こういう写真なのかもしれません。

撮影の前に、決めておきたいこと

リセラが宿の撮影をお手伝いするときは、こんな流れで進めています。

  1. 撮影のディレクションは、リセラが行う
  2. 現場での絵づくりは、カメラマンと一緒に行う
  3. 現像は、カメラマンにお任せする
  4. 仕上がりに対して、色味などの修正や、宿の方からのご要望に対応する

この流れのいいところは、どの程度の写真に仕上げるのかを、撮影前の打ち合わせで決められることです。

打ち合わせでは、たとえばこんなことを一緒に決めていきます。

  • どの写真を、どこに使うのか(公式サイト、予約サイト、パンフレット、Instagram)
  • 写真ごとの作り込み度(上の表のように)
  • どの部屋タイプを、どこまで撮るのか
  • 料理は、実際にお出ししている盛り付けで撮るのか
  • 季節や時間帯(眺めがいちばん良い時間と、いちばん多くのお客様が見る時間)

海辺の宿は、色味がとても難しい

撮影の中でも、特に難しいのが色味です。

たとえば海辺の宿は、室内と窓の外とで、明るさも色もまったく違います。

室内の照明はあたたかい色、窓の外の海と空は青い光。

このバランスを整えようとして色を動かしすぎると、今度は実際の部屋の雰囲気から離れてしまうことがあります。

きれいに整えることと、実際に近いことの、ちょうどいいところ。

ここを探るのが、宿の撮影でいちばん時間をかけるところかもしれません。

撮影の考え方そのものは、旅館・ホテルの撮影の記事にくわしく書いています。

誰が見てもすごい写真から、ありのままの一枚まで

リセラでは、撮影の形も、目的に合わせて選んでいただけるようにしています。

ひとつは、提携しているプロのカメラマンと一緒につくる、誰が見ても「すごい」と思ってもらえる写真。

ブランドを大切にしたい場面では、プロのカメラマン一択だと思っています。

もうひとつは、「ありのままを撮ってほしい」「作り込まないでほしい」というご要望のときの撮影です。

そういうときは、私自身が撮影することもあります。

プロのカメラマンほど作り込まれていない写真が、かえって良い。そういうことも、実際にあるんです。

Instagramが、いい例かもしれません。

もちろん、プロに撮影や制作をお願いしている宿もあります。

でも、アマチュアやセミプロくらいの写真のほうが、ある意味、ありのままを伝えやすい温度感で発信できるんですよね。

誰が見てもすごい写真から、ありのままの一枚まで。

どちらか一方ではなく、写真ごとの役割に合わせて選べること。

それが、宿の写真を考えるうえで、いちばん大事なことだと思っています。

写真だけでなく、伝え方でずれを防ぐ

写真と実際のずれは、ホームページの伝え方でも、かなり防ぐことができます。

  • 部屋タイプごとに、写真を分ける:いちばん良い部屋の写真だけを、全部の部屋の代表にしない
  • 広さを、数字で書く:㎡数や畳数を書いておく。私のように確認してから予約する方もいます(笑)
  • 眺めは、言葉で補う:海が正面に見えるのか、一部だけ見えるのか。写真だけに任せない
  • 料理には「一例です」を添える:季節や仕入れで変わることを、先にお伝えしておく
  • 写真の「賞味期限」を決める:改装前の写真や、何年も前の写真が残っていないか。撮り直しの目安を決めておく
  • 予約サイトと公式サイトで、写真をそろえる:どこで見ても、同じ宿だと分かるように

眺めを正直に伝えることについては、旅館・ホテルのページ構成の記事でも触れています。

最後に

写真は、作り込もうと思えばいくらでも作り込めます。

だからこそ、写真ごとに役割を決めて、どこまで作り込むのかを、宿の方と一緒に決めておく。

写真で期待してもらって、実際に来てみたら、期待をほんの少し上回る。

そんな体験が、「写真より良かった」という口コミと、次のご予約につながるのだと思います。

「今の写真、実際と離れていないかな」「撮り直しを考えている」「まずは自分たちで撮れる範囲から見直したい」といったご相談も、気軽にお声がけください。

長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参照した資料
  • Oliver, R. L. (1980). A Cognitive Model of the Antecedents and Consequences of Satisfaction Decisions. Journal of Marketing Research, 17(4).(期待と実際の差で満足が決まるという「期待不一致理論」の代表的な論文)

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